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実務向けた能力を必要とする実社会
「建築界が教育機関にもとめるデザイン教育」日建設計 山梨知彦 氏 |
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午前の基調講演には、「建築界が教育機関にもとめるデザイン教育」と題して、株式会社日建設計 設計部門で副代表を務める山梨 知彦氏が壇上に立ちました。
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株式会社 日建設計
設計部 副代表 山梨 知彦 氏 |
実社会(設計界)が"求める人材"について、「寸法感覚を養うための指導として、例えばトイレブースの寸法は90cmだと教えることではなく、自分がいいなと思える寸法がこれくらいだと手で示せること。そして、それが90cmだと知っていることが大切な寸法感覚であると指導しています。」と社内での教育例を説明し、「最近の新人には1円玉の寸法を正確に言える人が少ない。寸法感覚がない人に最適な設計ができない。」と、いかに実務に沿った感覚育成が必要であるかを強調しました。
さらに、「例えば、専門の分化として旧来、意匠・構造・設備だけでよかった設計が、近年、ライティングデザイナーや環境デザイナー、ランドスケープデザイナーなど多くのデザイン要素が出てきています。それぞれのスペシャリストも必要ですが、何より如何にそれらを統合できるノウハウを持つか、そういった人材が必要とされています。」と、対応力、プロジェクトマネージメント力のある人材育成の必要性も訴えました。
講演中には、ヒートアイランドを低減させるために陶器ファサードに雨水を流す環境技術を用いた建築や、木材を建築構造物として使った建物、その中で日本大工の伝統技術の繋ぎ手とコンピュータ解析、工業用カッターマシン技術を融合させた事例など、多くの実務事例をまじえながら、「幅広い能力が必要とされる実務社会と、教育現場の行う人材育成に乖離するところはないでしょうか。」と、改めて広い目線と情報を整理する能力としてITリテラシーを備える人材の育成を訴えました。
講演の後半には、「以前は、あそこの学校・研究室の生徒がほしいとかありましたが、今ではそういうものがなくなってきています。今は、面白い学生がいると耳に入るとその学生と話しにいきます。」と、学校ではなく、個人で採っている時代にあり、もっと学校自体に個性がほしいと、教育側へのリクエストを上げ、講演は終了しました。
講演は非常に多くの話題を語りながらも、参加者ならずとも興味をそそられるものが多く、内容の濃い講演となりました。 |
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